fur-furの日記

抗菌化学療法認定薬剤師が日々の勉強したことを共有します。

感染症

院内肺炎

◎院内肺炎 病院に入院後48時間以降に発症した肺炎 Pseudomonas aeruginosa, MRSAなどを想定した薬剤選択 ◎医療・介護関連肺炎 市中肺炎と院内肺炎の中間に位置する肺炎 ①長期療養型病床群もしくは施設に入所している ②90日以内に病院を退院した。 ③介護を必…

市中肺炎

◎原因菌 ①Sreptococcus pneumonae 市中肺炎の中で最も多い ペニシリン耐性S. pneumoniaeの頻度は低いとされマクロライド系耐性が多い 高用量ペニシリン系が推奨 例)AMPC250mg 1回2カプセル 1日4回5-7日間 ②Haemophilus influenzae S. penumoniaeの次に多い…

小児特有の7個の抗菌薬副作用

①クロラムフェニコール 不可逆性の再生不良性貧血 乳幼児は肝代謝が未熟のためグレイ症候群 ②ST合剤 核黄疸 ビリルビン値が生理的に高い低出生体重児や新生児禁忌 ③テトラサイクリン系薬 8歳未満の小児で歯牙黄染、エナメル質形成不全 ④セフトリアキソン 核…

抗ウイルス薬②抗インフルエンザ薬

抗インフルエンザ薬 ①M2タンパク阻害薬 アマンタジン:A型インフルエンザのみ有効 ②ノイラミニダーゼ阻害薬 ・オセルタミビル(内服) ・ザナミビル(吸入薬) ・ぺラミビル(点滴) ・ラニラビル(吸入薬) ③キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬 ・バロ…

抗嫌気性菌薬

◎抗菌薬 ・セファマイシン系 ・オキサセフェム系 ・β‐ラクタマーゼ阻害薬配合薬 ・カルバペネム系薬 ・クリンダマイシン:β‐ラクタマーゼに安定であるが近年B. flagilis groupの耐性化が問題 ・ミノサイクリン ・メトロニダゾール 作用機序:受動拡散により…

β‐ラクタム系抗菌薬③ カルバペネム系抗菌薬

〇作用機序 PBP結合による細胞壁合成阻害して殺菌的には働く。 分子量が小さく外膜の透過性に優れる。 ESBL、AmpC型β‐ラクタマーゼ過剰産生菌に抗菌活性を有する。 〇副作用 痙攣:γ-アミノ酪酸(GABA)の受容体結合阻害による 〇薬物相互作用 バルプロ酸併用…

抗菌薬の血液浄化法による除去の考えかた

◎血液浄化法で除去されにくい薬物 タンパク結合率が90%以上のもの 一般的に腎排泄型薬物は透析除去されやすい。 例外) CPZ, CTRX, TEIC, DAPはタンパク結合率が90%以上で除去されない。 テトラサイクリン系薬、リンコマイシン系薬、クロラムフェニコール…

抗ウイルス薬①抗ヘルペス薬

抗ヘルペス薬 〇作用機序 ①dGTPアナログ:ウイルスのチミジンキナーゼにより一リン酸化され宿主細胞内の酵素で三リン酸化され活性型となる。活性型薬剤はDNAポリメラーゼの基質となりDNAに取り込められる。結果DNA合成阻害を起こす。 アシクロビル、ファムシ…

ITCZは服用方法が大事

イトラコナゾール 経口剤と注射薬の2種類で経口剤はカプセル剤、錠剤、内用液剤がある。 服用タイミングが重要になる。 固形製剤は食直後 カプセル剤、錠剤は低pHで溶解性が高いため食直後が吸収が高い。 内用液剤は空腹時 胃内のpHの影響は受けず食事により…

眼内炎

〇眼内炎の種類と原因菌 ①術後眼内炎 ・急性眼内炎:Staphylococcus属(MRSEを含むCNS, MRSAを含むGPC) Streptococcus属(溶血性レンサ球菌, 肺炎球菌) Enterococcus属(腸球菌)GNR, 真菌など ・遅発性眼内炎:Propoionibacterium acnes ・晩期眼内炎:Sta…

β-ラクタム系抗菌薬 ②セフェム系抗菌薬

■作用機序 4員環のβ-ラクタム環と6員環のジヒドロチアジン環が結合した骨格 PBPに結合して細胞壁合成阻害するこで殺菌的に作用する。 ペニシリナーゼによる分解を受けにくい。 ■抗菌薬 ①第1世代セファロスポリン系(セファゾリン、セファレキシン) セファゾ…

β-ラクタム系抗菌薬:①ペニシリン系抗菌薬

今日から抗菌薬の各論いきます。 まずは基本の基本のペニシリン系薬から ■作用機序 β-ラクタム系薬はβラクタム環を有する抗菌薬。 ペニシリン系薬は古くから存在し有効性の高い抗菌薬である。 ペニシリン結合タンパクに結合して細胞壁の合成障害して抗菌活性…

抗菌薬の有効性とPK/PD

①PKとは Pharmacokinetics(薬物動態)を意味する 薬物の用法・用量と生体内での薬物濃度推移の関係を表す。 ②PDとは Pharmacodynamics(薬力学)を意味する 薬物の生体内での暴露と作用の関係を表す。 【PDパラメータ】 〇最小発育阻止濃度(minimum inhibit…

偏性嫌気性菌

【Closutridioides difficile】 芽胞形成性グラム陽性桿菌 〇常在する臓器 芽胞状態で環境に存在するC. diffilcileが経口的に腸管内に侵入する。 芽胞形成した場合は胃酸抵抗性で大腸に定着する。 〇感染症 腸炎 〇耐性菌 VCM耐性株増加 MNZ耐性株減少 FDX耐…

グラム陽性桿菌感染症

【Corynebacterium属】 一般に病原性が弱い。 無菌的検体以外からの分離は定着菌と考える。 〇常在する臓器 皮膚や粘膜 〇耐性菌 C. jeikeium, C. urealyticumなどはグリコペプチド系以外は耐性 【Lysterua monocytogenes】 〇常在する臓器 土壌た腐敗した植…

グラム陰性球菌感染症

【Neisseria属】 ①髄膜炎菌(Neisseria meningitidis) ヒトが唯一の宿主 低温で死滅するため検体は低温保存しない 菌血症患者では点状出血、水疱、紫斑を呈する。Waterhouse-Friderichsen(急性腎不全を主徴する劇症型病態) 〇耐性菌 ペニシリン低感受性菌…

ニューモシスチス肺炎

ニューモシスチス肺炎 〇病態 Pneumocystis jiroveciiを病原微生物とした肺炎 細胞性免疫が低下した個体に起こる日和見感染である。 AIDSと診断されるきっかけとして最も多くみられる疾患である。 ステロイド(PSL換算20㎎/日以上、1か月以上)や免疫抑制剤…

抗酸菌感染症

抗酸菌とは 細胞壁に多量の脂肪を含み、加温しないと染色されいくいが一度染色されると酸やアルコールで脱色されにくくなる。 代表的な菌種:結核菌それ以外非結核性抗酸菌(nontuberculous mycobacteria:NTM) NTM症:NTMは塵埃、土壌、など自然界に存在 Myco…

グラム陽性球菌感染症

グラム陽性球菌 ブドウ球菌属は黄色ブドウ球菌とコアグラーゼ陰性ブドウ球菌属に分けられる。 今日はStaphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)についてまとめる。 【Staphylococcus aureus】 〇常在する臓器 皮膚や鼻腔内 〇感染症 外傷や手術、血管内留置カ…

侵襲性カンジダ症

侵襲性カンジダ症 〇病態 酵母様真菌であるカンジダ属による感染症 一般に病原性は弱いが宿主の状態によっては血流感染症など命にかかわる感染症を引き起こす。 血行性に全身に播種してカンジダ眼内炎や肝膿瘍、血行播種性肺カンジダ症、骨髄炎などを発症す…

感染症勉強開始

感染症について勉強します。 まずは真菌感染症からやっていきます。 深在性真菌症 〇感染経路 経気道感染、経皮的感染、経腸管的感染 〇原因菌 アスペルギルス属、クリプトコッカス属など 〇病態 原因菌が自然の環境中に存在する真菌で呼吸により吸入してい…