fur-furの日記

抗菌化学療法認定薬剤師が日々の勉強したことを共有します。

β-ラクタム系抗菌薬:①ペニシリン系抗菌薬

今日から抗菌薬の各論いきます。

まずは基本の基本のペニシリン系薬から

 

■作用機序

β-ラクタム系薬はβラクタム環を有する抗菌薬。

ペニシリン系薬は古くから存在し有効性の高い抗菌薬である。

ペニシリン結合タンパクに結合して細胞壁の合成障害して抗菌活性を示す。

 

■抗菌薬

①天然ペニシリン:肺炎球菌を含む好気性、嫌気性レンサ球菌、腸球菌に有効

                 リステリア属、Clostridium perfringensにも有効。

         肺炎球菌に対して耐性が見られる。髄膜炎髄膜炎以外で

         ブレイクポイントが異なる。100万単位中59.8㎎(1.53mEq)の

         カリウムを含有する。

 

②アミノペニシリン:一部のインフルエンザ菌大腸菌などグラム陰性桿菌へスペクト  

                          ル拡大。インフルエンザ菌BLNARに注意する

          アモキシシリンは経口吸収良好(約80%)アンピシリン(約40-  

          50%)

③抗緑膿菌活性ペニシリン:アミノペニシリンのスペクトルに加えてクレブシエラ属、                                                エンテロバクター属、P. mirabilis以外の一部のプロテウス   

                                              属、緑膿菌まで広がる。バクテロイデス属菌、ESBL産生菌 

                                             無効 

④各種配合薬:スルタミシリン(アンピシリン+スルバクタム)は経口吸収率不明

       β-ラクタマーゼ阻害薬配合剤はペニシリナーゼ産生MSSAや嫌気性菌を

       含めたβ-ラクタマーゼ産生菌にスペクトルが広がる。

 

■耐性機序

グラム陽性菌

β-ラクタマーゼとPBPの変化(PRSP)によるもの

 

グラム陰性菌

抗菌薬の外膜透過性低下やエフラックス機構によるもの

 

■抗菌薬

①ベンジルペニシリン(PCG)

〇用法・用量

感染性心内膜炎:1200万単位~2400万単位を持続投与または4~6回に分割投与

髄膜炎(リステリア、B群レンサ球菌):400万単位を4時間ごと投与

PCG100万単位中59.8㎎(1.53mEq)のカリウム含有

 

②アンピシリン(ABPC)

〇用法・用量

内服:1回250-500mg1日4~6回

点滴:1回2gを4~6時間ごと投与

感染性心内膜炎・髄膜炎で1日12gの使用

プロベネシド併用で発疹の出現上昇

 

③アモキシシリン(AMPC)

〇用法・用量

1回250㎎を1日3~4回経口投与、年齢、症状により適宜増減

梅毒(神経梅毒以外)の場合1.5g~3gを3回に分けて内服する。またプロベネシド併用でAMPC作用効果が高まる。

 

④クラブラン酸/アモキシシリン(CVZ/AMPC)

用法・用量

1回375㎎(AMPC 250mg/CVA 125mg)を1日3回投与

AMPC1回500㎎1日3回としてた場合CVAの投与量も比例して増加すると下痢のリスクが高まる。そのためサワシリンを1回250㎎1日3回で併用するとAMPC 500mg/CVA 125mgで投与するこができる。

 

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