fur-furの日記

抗菌化学療法認定薬剤師が日々の勉強したことを共有します。

β-ラクタム系抗菌薬 ②セフェム系抗菌薬

■作用機序

4員環のβ-ラクタム環と6員環のジヒドロチアジン環が結合した骨格

PBPに結合して細胞壁合成阻害するこで殺菌的に作用する。

ペニシリナーゼによる分解を受けにくい。

 

■抗菌薬

①第1世代セファロスポリン系(セファゾリンセファレキシン

セファゾリン(CEZ):GPCに強い抗菌活性を示す。MSSAに対してVCMやペニシリン系にまさる。

 

〇使用例

レンサ球菌およびMSSAによる皮膚軟部組織感染症、化膿性関節炎、骨髄炎、菌血症(中枢神経感染症を除く)、周術期予防投与(バクテロイデス属の関与がある消化管関連の腹腔内手技を除く)

 

✖使用できない症例

ペニシリン耐性肺炎球菌、H. influlenzaeM. catarrhalisが原因となる副鼻腔炎、中耳炎

・声帯以下の気道感染症(肺炎を含む)

・動物咬傷

・中枢神経病変を伴う感染症

 

②第2世代セファロスポリン系(セフォチアム、セファクロル)

GPCに対しては第一世代より抗菌活性は劣るがGNRへの抗菌活性は増強され、

HaMに対して抗菌活性が第1世代より強い。

セファクロル:CEXよりGNR、レンサ球菌に対する抗菌活性は良好

       MSSA、S. pneumoniaeに対する活性は低い。

       呼吸器移行性不良であり気道感染症は適さない。

〇使用例

単純性膀胱炎、PEKやHaMに対して(感性菌である場合)のde-escalation

 

③第3世代セファロスポリン系

アミノチアゾリル基を有してグラム陰性桿菌外膜の透過性亢進と細胞壁ペニシリン結合蛋白への親和性亢進

non-PEK腸内グラム陰性桿菌に抗菌活性を示すがAmpC型β-ラクタマーゼ誘導することがあり注意が必要になる。

 

〇注射薬

セフトリアキソン(CTRX)、セフォタキシム(CTX)

S.neumoniae、BLNARを含むHaMに抗菌活性を示す。

市中肺炎やBacteroidesの関与のない口腔内嫌気性菌による誤嚥性肺炎に効果がある。

髄液移行性がよく細菌性髄膜炎の初期治療の第一選択に位置づけされている。

CTRXは肝排泄型で腎機能調節不要であり肝機能障害のある場合はCTXを使用する。

 

セフタジジム(CAZ)

緑膿菌作用を有するがグラム陽性球菌に対する抗菌活性は弱い。

 

スルバクタム/セフォペラゾン(SBT/CPZ)

CPZはP. aeruginosaに抗菌活性を示すがCAZより弱い

バクテロイデスを含む嫌気性菌に抗菌活性を示す。

胆道系の濃度は血中の4倍以上に達する。

 

④第4世代セファロスポリン系

セフェピム(CFPN)、セフォゾプラン(CZOP)

PBPへの親和性が高くAmpC型β‐ラクタマーゼの加水分解を受けにくい。

髄液移行性良好

〇使用例

緑膿菌やPEK以外の腸内細菌科(AmpC産生菌を含む)

✖使用できない症例

腸球菌の関与する感染症

 

⑤偏性嫌気性菌(バクテロイデス)に抗菌活性を有するセフェム

セフメタゾール(CMZ)、フロモキセフ(FMOX)

GPCの抗菌活性は第一世代に劣る。

PEKの他β‐ラクタマーゼ産生する偏性嫌気性菌であるBacteroides fragilisにも有効

 

⑥薬剤耐性菌治療用新規セファロスポリン系薬

セフトロザンタゾバクタム(TAZ/CTLZ)

ESBL産生菌、AmpC β‐ラクタマーゼに活性を示す。

KPC産生菌やclassD(OXA型)には活性を示さない。

偏性嫌気性菌(バクテロイデス)には活性を示さない。

 

〇内服薬

セフボドキシム(CPDX-PR)、セフジトレンピボキシル(CDTR-PI)、セフジニル(CFDN)、セフカペンピボキシル(CFPN-PI)

生体内利用率が低い。CPDX-PR(50%)

CDTR-PIはBLNARによる中耳炎の高用量(mg/kg)で使用する

 

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