ループ利尿薬の考え方
●作用機序
腸管で吸収され血中でアルブミンと結合して腎臓へ運ばれる。
通常アルブミンは糸球体でろ過されないためループ利尿薬も糸球体でろ過されず輸出細動脈を経由して近位尿細管周囲の毛細管血管側から尿細管上皮細胞へ取り込まれます。
その後アルブミンと離れループ利尿薬単体で尿細管腔へ分泌され原尿の流れに乗ってヘンレループ上行脚でNa⁺-K⁺-2Cl共輸送体を阻害しNa再吸収を阻害する。
●経口or静注
〇静脈投与
10~30分で血中濃度を高めることが出来る。
作用は2~3時間
〇経口投与
作用時間は6時間
心不全患者では静脈圧上昇によ腸管うっ血、腸管浮腫が随伴し経口利尿薬の血中濃度の立ち上がりが悪い。さらに心不全患者ではNa排泄が可能となる血液中利尿薬濃度が健常者と比較して高いためすみやかな心不全症状の改善を得るための初期投与は静注を選択した方がよい。
●投与量
ループ利尿薬はある一定以上の血中濃度(Na利尿閾値)に到達しない限り利尿効果は現れない。しかし血中濃度が上がれば上がるほど利尿効果が増大し続けるわけではなくある一定以上の濃度(天井閾値)で利尿効果は頭打ちになる。
心不全の病態
心不全では腎うっ血や有効循環血漿量に伴う腎血流低下によってレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系(RASS)が亢進しNaが近位尿細管や皮質集合管でどんどん再吸収される。
心不全患者にループ利尿薬を投与すると投与開始直後はNa排泄量は急激に増加するが半減期が短いためすぐに血中濃度は低下する。よって利尿効果を発現するためのNa利尿閾値を下回る。血中濃度が低下するとループ利尿薬自体のRASS亢進と利尿に伴うRASS亢進により近位尿細管や皮質集合管でのNa再吸収が高まりNa排泄は低下する。
つまり、薬の作用が発揮している時間のみ体液量は減少し効果が消失したとたんNa再吸収が活性化し体液貯留み傾く。(pst-diuretics NaCl retention)
さらにループ利尿薬によりヘンレループ上行脚でのNaの再吸収が低下すると遠位尿細管の肥大が起こりNa再吸収が亢進しNa排泄量が減少する。よってループ利尿薬の使用により次第にNa排泄量が落ちてくる。
こてが「利尿薬抵抗性」の状態である。
●腎機能低下の場合
腎機能低下により尿毒症物質が近位尿細管での利尿薬分泌が阻害される。また、原尿が少ないため正常なネフロンのヘンレループ上行脚へ到達する利尿薬の量が減る。
●投与量
初期に十分量を投与し天井量を達成しNa利尿閾値を下回らなないように頻回投与あるいは持続投与を行う必要がある。
腎機能が低下すると天井量に達成するためにより高用量の利尿薬が必要になる。
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