fur-furの日記

抗菌化学療法認定薬剤師が日々の勉強したことを共有します。

慢性心不全の薬物療法

アンギオテンシン変換酵素阻害薬

<作用機序>

アンギオテンシン変換酵素を阻害しRAA系を抑制する。

ブラジキニンの不活化を抑制しカリクレインーキニンープロスタグランジン系を増強し血管拡張作用を示す。

<副作用>

乾性咳嗽、血管浮腫、腎機増悪、高K血症

 

アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬

<作用機序>

アンギオテンシンⅡAT1受容体を抑制しRAA系を抑制する。

<副作用>

アンギオテンシン変換酵素阻害薬と同じ

 

アンギオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)

<作用機序>

ARBの作用に加えて内因性ナトリウム利尿ペプチドなどを分解するネプリライシンを阻害することで心不全を改善する。

<副反応>

低血圧、血管浮腫

<モニタリング>

NT-proBNP

 

ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)

<作用機序>

アンギオテンシンⅡAT1受容体にアンギオテンシンが作用するとこで副腎および心臓局所からアルドステロンが産生される。MRAはミネラルコルチコイド受容体をブロックすることで効果を発揮する。ACE阻害薬/ARB投与で起こるアルドステロンブレークスルー現象(低下していたアルドステロン濃度が再上昇する)に対して併用する。

<副作用>

高K 血症、女性化乳房スピロノラクトン

 

β遮断薬

<作用機序>

カテコールアミンによる心筋障害抑制、レニ分泌抑制、心拍数減少による心筋酸素消費量の低下および拡張期特性の改善、抗不整脈作用

<副作用>

心不全増悪、徐脈、倦怠感、喘息増悪

<モニタリング>

肺うっ血、低心拍は禁忌

気管支喘息、Ⅱ度以上の房室ブロックの確認

心拍数安静時洞調律70/分未満、心房細動110/分未満を目標

 

喘息・慢性閉塞性肺疾患がある場合はβ1選択性がの高いビソプロロールを選択する。

 

SGLT2阻害薬

<作用機序>

近位尿細管でグルコースの再吸収を担うsodium glucose cotransporter-2(SGLT-2)を抑制しグルコースの尿中排泄増加で血糖降下作用を示す。

ケトン体による心筋エネルギー代謝率の改善、慢性炎症・酸化ストレスの軽減や腎尿細管障害の低減

<副作用>

尿路・性感染症

 

HCNチャネル遮断薬

<作用機序>

洞結節細胞のIfチャネルを阻害することで心拍数を低下させる。

陰性偏力作用はなし。

<治療のポイント>

β遮断薬を含む標準治療薬下の洞調律で心拍数≧75分、LVEF35%以下の有症候性心不全に対して検討する。

 

利尿薬

<作用機序>

腎臓の糸球体で作られた原尿に対する、①近位尿細管:ループ利尿薬、②遠位尿細管:チアジド系利尿薬、③集合管:バソプレシンV2受容体拮抗薬での再吸収抑制し利尿効果を示す。

 

不整脈薬(アミオダロン)

<作用機序>

Kチャネル、Caチャネル、Naチャネルなどを抑制するマルチチャネルブロッカー

非選択的にβ遮断作用も有する。

<副作用>

甲状腺機能障害、間質性肺炎、角膜色素沈着

<治療のポイント>

高い脂溶性、体内分布容積が大きい。半減期が14~107日と長く有効血中濃度に達するため多くの量が必要になる。299 216

 

ジギタリス製剤

<作用機序>

低濃度で血中アドレナリン濃度低下および迷走神経刺激作用があり房室伝導を抑制する。

高濃度では心筋細胞膜のNa-K-ATPaseを阻害し心筋細胞内のNa⁺濃度の上昇によってNa-Ca輸送系が賦活化されCa²⁺細胞内濃度が増加することで筋原繊維の収縮が高まる。

<副作用>

ジギタリス中毒

 

 

PDE阻害薬

<作用機序>

cAMPの増加を介した細胞内Ca²⁺上昇により心筋収縮を増大させる。

 

 

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