fur-furの日記

抗菌化学療法認定薬剤師が日々の勉強したことを共有します。

利尿薬の使い方

利尿薬の作用機序

 

尿細管は近位尿細管、ヘンレループ(下行脚、上行脚)、遠位尿細管、集合管に分かれる。

 

尿細管に排出されたNa⁺のうち60%近位尿細管で再吸収しヘンレループの太い上行脚で30%、遠位尿細管と接合尿細管で7%、集合管で2~3%再吸収される。

 

利尿薬はNa⁺の吸収を阻害して作用を示す。

 

 

利尿薬はどのようなときに使用するか?

細胞外液量と細胞内液量のどちらかまたは両方が過剰の時に使用します。

 

心不全、肝硬変、ネフローゼ症候群、などでよく使用される。

尿を出すために腎前性腎不全や尿閉に使うのは誤った使い方です。

「尿が出ない」≠「利尿薬」

 

利尿薬の種類

①炭酸脱水素酵素阻害薬:アセタゾラミド

近位尿細管で重炭酸の吸収を阻害し同時に吸収されるNa⁺の再吸収阻害により効果を示す。

アセタゾラミドはNa⁺の再吸収阻害作用が弱く緑内障、月経前緊張症、中枢性睡眠時無呼吸症候群、周期性四肢麻痺の予防、サリチル酸やフェノバールバルビタールの薬剤排泄促進目的などで使用することがある。

副作用:低K化粧、代謝性アシドーシス

 

②ループ利尿薬:フロセミド、アゾセミド、トラセミ

ヘンレループ上行脚大部尿細管腔側のNa⁺-K⁺-2Cl⁻共同輸送体の阻害によりNa⁺の再吸収を阻害する。

 

フロセミドバイオアベイラビリティは10-100%と個人差がありだいたい50%と想定し静注から経口へスイッチする2倍量とすることが多い。

 

ループ利尿薬は細胞外液量を増加する他、慢性腎臓病の高K血症の治療に使用することがある。

 

③サイアザイド系利尿薬:トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド、インダパミド

遠位尿細管腔側のNa⁺-Cl⁻共輸送体を阻害してNaを排泄させます。

利尿薬抵抗性の際ループ利尿薬との併用、高血圧、高K血症の治療に使用する。

Caの吸収を高め尿中へのCa排泄低下させ骨粗鬆症や腎結石にも有効。

 

④K保持性利尿薬:スピロノラクトン、カンレノ酸カリウム、エプレレノン、エサキセレノン、トリアムテノン

集合管でNa⁺吸収とK⁺排泄阻害する利尿薬。

 

スピロノラクトンは抗アンドロゲン作用やプロゲステロン様作用により女性化乳房やインポテンツ、生理不順の副作用がある。

 

エプレレノンはミネラルコルチコイド受容体の選択性が高くなり女性ホルモン作用が軽減されている。

 

エサキセレノンはミネラルコルチコイド受容体への選択性が非常に高く中等度腎機能障害(eGFR 30 mL/分/1.73 ㎡以上)や糖尿病性腎症にも使用可能

 

⑤トルバプタン

尿細管管腔の血管側にあるバソプレシンV₂受容体拮抗薬で①ループ利尿薬等の他利尿薬で効果不十分な心不全・肝硬変における体液貯留②常染色体優性多発性のう胞腎の進行抑制③SIADHにおける低Na血症の改善

 

ムスカ錠7.5㎎1錠1,084円で高額のため退院後の治療費も考える必要がある。

 

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