SGLT2阻害薬の作用機序
正常なヒトは1日に約180gのブドウ糖が糸球体でろ過される。
そのうち160gが腎臓の近位尿細管にあるsodium-glucose cotransporter により再吸収される。
糖尿病患者では糸球体でろ過されるブドウ糖の量が増えSGLT2の発現が亢進している。このSGLT2を治療のターゲットにしたのがSGLT2阻害薬である。
リンゴの糖が樹皮から発見されたフロリジンが尿糖排泄作用を持ちSGLT2に作用することで注目が高まった。
フロリジンはバイオアベイラビリティが低く消化管中のSGLT1も阻害し消化器症状を引き起こすことが懸念された。
そこでSGLT2選択的阻害薬が開発された。
〇日本で処方可能なSGLT2阻害薬
エンパグリフロジン、ダパグリフロジン、カナグリフロリジン、イプラグリフロジン、ルセオグリフロジン、トホグリフロジン
心不全に使用できるSGLT2阻害薬
エンパグリフロジン、ダパグリフロジン
心筋にに対する直接的作用
心筋にはSGLTは存在しないものの心筋内にNaを取り込み水素を排泄するNa-H交換輸送体(NHE)の働きを阻害する作用を有する。
NHEにより心筋内に取り込まれたNaはNa-Ca交換輸送体によりCaと交換しされた細胞外に排泄されるため心筋内へのCa負荷につながる。
そこでSGLT2阻害薬はNHEを阻害してこれをCaの負荷軽減を示す。
参考書籍
心不全診療パーフェクト (レジデントノート増刊) [ 木田 圭亮 ] 価格:5,170円 |