ニューモシスチス肺炎
ニューモシスチス肺炎
〇病態
Pneumocystis jiroveciiを病原微生物とした肺炎
細胞性免疫が低下した個体に起こる日和見感染である。
AIDSと診断されるきっかけとして最も多くみられる疾患である。
ステロイド(PSL換算20㎎/日以上、1か月以上)や免疫抑制剤や生物学的製剤投与する患者、造血幹細胞移植患者、悪性腫瘍患者などHIV陰性の免疫不全患者の合併症として起こる。
〇治療
標準的治療
ST合剤:TMPとして15~20㎎/kg/日を3~4分割して投与
注射薬配合変化(結晶化):1Aあたり125mLの生食or5%TZで6時間以内
1Aあたり75mLの生食or5%TZで2時間以内
副作用:発熱、発疹、消化器症状、肝障害、腎障害、高K血症、血清クレアチニン値上昇(尿細管から分泌する薬物とクレアチニンが競合するため)
HIV患者では薬疹、血球減少などの過敏症反応が多い
ST合剤が使用できない場合
ペンタミジン:3~4㎎/kg 1日1回1~2時間かけて点滴静注
300~600mgを注射用水10mLに溶解して21日間吸入
深呼吸→起坐位→左側臥位→右側臥位→仰臥位→起坐位
吸入後うがいする
粘膜刺激性と催奇形性あり
配合変化:ブドウ糖、生理食塩水で直接溶解すると懸濁・固化のおそれ
必ず注射用水で溶解
副作用:低血糖、低血圧、腎障害、味覚障害、心室性不整脈、発疹、発熱
薬物相互作用(禁忌):ザルシタビン併用で劇症膵炎
ホスカルネットNa併用で腎障害、低Ca血症
アミオダロン併用でQT延長、Torsade de Pointes上昇
換気障害重症患者(PaO₂60mmHg以下)→ペンタミジンの拡散不十分のため
アトバコン:1回5mL1日2回 食後内服
☆ST合剤とペンタミジンの併用は通常行わない(副作用の出現を増すだけ)
ステロイド療法:中等症以上の低酸素血症呈する患者に対して治療開始72時間以内に開始PSL40~80mg/日で開始し、漸減して3週間で終了する。
〇予防投与
ST合剤:1回2週3回or1回1錠連日内服
ペンタミジン:300mgを注射用水5mLに溶解し、2~4週間に1回吸入
アトバコン:1回10mL1日1回食後投与
〇PK/PD
ST合剤
髄液、胸水、腹水、滑液への移行良好
胎盤通過(妊婦投与禁忌)